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相続した不動産の売却方法とは?知らないと損する税制特例と手続きのコツについて解説

相続した不動産の売却方法とは?知らないと損する税制特例と手続きのコツについて解説

「相続した不動産をどうしよう」「売却したいけど手続きが分からない」

そんな悩みを抱える方は少なくありません。相続不動産の売却には特有の手続きや税制上の配慮が必要です。

本記事では、相続不動産売却の流れから必要書類、税金対策まで、知っておくべき全てのポイントを分かりやすく解説します。

相続不動産売却の流れと必要書類

相続した不動産をスムーズに売却するための一連の流れと、準備すべき書類について見てみましょう。

相続登記から売却完了までのステップ

相続不動産を売却する際の基本的な流れを解説します。

①相続登記(名義変更)
②不動産の査定と価格決定
③売買契約の締結
④決済・引き渡し

相続登記で名義を変更してから、複数の不動産会社に査定を依頼して適正価格を把握します。その後、契約書を作成して売買契約を締結し、最後に代金の受け取りと鍵の引き渡しで完了です。

書類の不備や相続人間の認識ズレで進行が遅れることもあるため、事前に司法書士や不動産会社へ相談し、書類準備とスケジュール調整を徹底しましょう。


各段階で必要な書類と手続き

相続不動産の売却では、手続きの段階ごとに求められる書類が異なります。

手続きの段階必要書類
相続登記(名義変更)・被相続人の戸籍謄本
・除籍謄本
・住民票の除票・相続人全員の戸籍謄本
・印鑑証明書・遺産分割協議書
不動産査定・売却契約時・登記済権利証または登記識別情報通知書・固定資産税納税通知書・本人確認書類
決済・引き渡し時・固定資産税の清算書・振込先情報(通帳など)

書類は一部でも欠けると手続きが進められない場合があります。特に相続登記関係の書類は原本が必要になるため、早めに司法書士や不動産会社へ確認しておきましょう。

共有名義・複数相続人の場合の注意点

相続した不動産が複数の相続人による共有名義の場合、売却には全員の同意が必要となります。まずは相続人全員で話し合い、売却方針や分配方法を明確にしておきましょう。


意見が分かれる場合は契約を進めることはできないため、代表者を立てて協議を円滑に進めるとよいでしょう。

相続人の一部と連絡が取れない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる必要があるため、早めに司法書士や弁護士へ相談しましょう。

相続不動産売却にかかる税金の種類

不動産を相続して売却する場合、複数の税金が発生します。ここでは、それぞれの税金の内容と計算方法を見てみましょう。

譲渡所得税の計算方法と税率

相続した不動産を売却すると、「譲渡所得税」が課されます。譲渡所得とは、売却価格から「取得費(購入時の費用)」「譲渡費用(仲介手数料など)」を差し引いた利益のことです。

税率は所有期間によって異なります。

区分所有期間所得税住民税合計税率
短期譲渡所得5年以下30%9%39%
長期譲渡所得5年超15%5%20%

※所有期間は売却した年の1月1日時点で判定

なお、相続の場合、被相続人が取得してからの期間を引き継ぐ点が特徴です。つまり、親が長期間所有していた物件なら、長期譲渡扱いになる可能性が高いといえます。

住民税・復興特別所得税について

譲渡所得税を計算する際には、「住民税」と「復興特別所得税」も併せて課されます。住民税率は所有期間によって異なり、長期譲渡所得は5%、短期譲渡所得は9%が適用されます。また、復興特別所得税は所得税額の2.1%を加算して計算します。

これらの税金は確定申告の際にまとめて納付する仕組みです。特に、売却額が大きい場合は合計税率が高くなるため、早めにシミュレーションを行い、税理士など専門家に相談しておくと安心でしょう。

登録免許税・印紙税などの諸費用

不動産売却には、所得税以外にも登録免許税や印紙税が発生します。登録免許税は不動産の名義変更(登記)時に発生し、相続登記の場合、固定資産税評価額の0.4%が一般的です。

また、売買契約書に貼付する印紙税は、契約金額によって異なります。たとえば1,000万円超〜5,000万円以下の契約では1万円(軽減措置適用時)が目安です。

これらは所得税に比べると少額ですが、売却経費として計上できるため、事前に確認しておくことが重要です。

確定申告の手続きと申告期限

相続不動産を売却した場合は、翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告が必要です。提出書類には、売買契約書の写し・登記事項証明書・譲渡費用の領収書などがあります。

e-Taxを利用したオンライン申告も可能ですが、期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する点に注意が必要です。早めの準備を心がけるほか、控除漏れや計算ミスを防ぐために税理士などの専門家へ相談するのもよいでしょう。

相続不動産売却で使える特例制度

ここでは、相続によって取得した不動産を売却する際に利用できる、代表的な特例制度を見てみましょう。

3,000万円特別控除

相続した不動産でも、条件を満たせば「3,000万円特別控除」を利用できます。被相続人が生前に一人で住んでいた家や、その家を取り壊して土地を売却した場合などが対象です。

相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すれば適用可能で、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。

相続税額の取得費加算の特例

「相続税額の取得費加算の特例」は、相続税の一部を不動産の取得費に加算し、課税額を減らせる制度です。この特例は、相続税の申告期限(相続開始から10か月)翌日から3年以内に不動産を売却した場合に適用されます。

相続税を多く支払った場合ほど節税効果が大きく、譲渡所得税と住民税の双方で軽減が見込めます。ただし、細かな条件や必要書類があるため、事前に税理士へ相談して確認しておくことが大切です。

売却方法の選択肢と比較

相続した不動産の売却方法にはいくつかの選択肢があります。ここでは、それぞれの特徴と向いているケースを見てみましょう。

仲介・買取・リースバックのメリット・デメリット

相続不動産を売却する際の代表的な方法として、仲介、買取、リースバックの3つがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

項目仲介買取リースバック
売却価格市場価格に近い市場価格の7〜8割市場価格より低め
売却期間数ヶ月〜半年以上数日〜1ヶ月程度数日〜1ヶ月程度
手数料仲介手数料あり(売却価格の3%+6万円+消費税)仲介手数料なし仲介手数料なし
メリット・高値での売却が期待できる
・幅広い買主候補
・現金化が早い
・内見対応不要
・古い物件でもOK
・売却後も住み続けられる
・まとまった資金が得られる
デメリット・売却まで時間がかかる
・内見対応が必要
・仲介手数料が発生
・売却価格が低い・家賃の支払いが必要
・売却価格が低い
こんな人におすすめ時間に余裕があり、少しでも高く売りたい急いで現金化したい、相続税の納付期限が迫っている高齢の相続人が住んでおり、住み慣れた家を離れたくない

空き家バンクや自治体制度の活用

地方の相続不動産で買い手が見つかりにくい場合は、自治体が運営する「空き家バンク」への登録を検討しましょう。

空き家バンクは、移住希望者と空き家所有者をマッチングする制度で、登録は無料です。自治体によっては、空き家の改修費用や解体費用の補助金制度を設けているところもあります。

また、固定資産税の減免措置や、売却時の特例措置が受けられる場合もあるため、所在地の自治体窓口や公式サイトで確認してみましょう。地域活性化に貢献しながら、売却のチャンスを広げることができます。

親族への売却のポイント

相続した不動産を他の親族に売却する場合は、適正価格での取引を心がけることが重要です。著しく安い価格で売却すると、贈与とみなされて贈与税が課税される可能性があります。

不動産鑑定士や複数の不動産会社による査定を受け、客観的な市場価格を把握したうえで売買価格を決めましょう。

また、親族間売買では住宅ローンの審査が通りにくい場合もあるため、買主側の資金調達方法も事前に確認しておくことが大切です。

相続不動産売却のトラブル事例と解決策

ここでは相続不動産の売却に際して、よくあるトラブル事例とその解決策を紹介します。

相続人間で意見が合わない

複数の相続人がいる場合、「すぐに売却したい」「賃貸に出したい」「自分が住みたい」など、それぞれの希望が異なることがよくあります。

感情的な対立に発展すると、売却手続きが何年も進まないケースも少なくありません。このような場合は、まず相続人全員で話し合いの場を設け、それぞれの事情や希望を共有することが大切です。

話し合いがまとまらない時は、弁護士や司法書士などの専門家に間に入ってもらい、客観的なアドバイスを受けることで、冷静に解決策を見出だせるでしょう。

相続登記が未了で売却が進まない

不動産を相続しても、名義変更(相続登記)をしていないと売却することができません。相続登記には、戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類が必要で、相続人が多い場合や遠方に住んでいる場合は、書類の準備に時間がかかります。

2024年4月からは相続登記が義務化されており、怠ると過料が課される可能性もあるため、早めに司法書士に依頼して手続きを進めるようにしましょう。

また、遺産分割協議が整っていない場合は、まず相続人全員で協議を行い、合意形成を図ることが先決です。

古い不動産や立地条件の悪い物件で売りにくい

築年数が古い建物や、駅から遠い、周辺環境が良くないなどの理由で、なかなか買い手が見つからないケースもあります。

このような物件は、通常の仲介では時間がかかるため、不動産買取業者に相談するのも一つの方法です。買取なら、現況のまま迅速に売却でき、仲介手数料もかかりません。

また、建物を解体して更地にすることで買い手が見つかりやすくなる場合もありますが、解体費用と税金(更地にすると固定資産税が上がる)を考慮して判断しましょう。地域の不動産会社に複数相談し、最適な売却方法を見つけることが大切です。

まとめ

相続不動産の売却は複雑な手続きですが、適切な準備と専門家のサポートがあれば円滑に進められます。税制上の特例も活用しながら、最適なタイミングと方法で売却を実現しましょう。早めの相談と計画的な進行が成功の鍵となります。

弊社では、士業と連携して相続登記手続きのトータルサポートを行っております。

手続きに必要な書類に関するご相談から、相談者様のニーズに応じた士業のご紹介まで対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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