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不動産の相続手続きにかかる費用はいくら?内訳と節約のポイントを解説

不動産の相続手続きにかかる費用はいくら?内訳と節約のポイントを解説

不動産を相続するとき、気になるのが「どれくらい費用がかかるのか」という点です。名義変更や税金の申告、必要に応じた専門家への依頼など、思ったより出費がかさむケースもあります。

本記事では、不動産相続に必要な各種費用の内訳と、無理なく節約するためのポイントについて解説します。

不動産相続にかかる主な費用の種類

不動産相続では、登録免許税から専門家費用まで、複数の支出が発生します。基本的な費用項目を整理し、それぞれの計算方法を把握しておきましょう。

登録免許税

相続による不動産の名義変更時に法務局へ支払う税金です。課税標準額(固定資産税評価額)の0.4%が基本税率となります。

例えば評価額2000万円の不動産なら8万円の負担となります。計算時は1,000円未満を切り捨てた後、0.4%をかけ、最終的に100円未満を切り捨てます。

ただし、一定の条件下では免税措置が適用される場合があります。価額が100万円以下の土地については、令和9年3月31日まで登録免許税が免除されます。

また、相続人が登記前に死亡した場合の中間登記についても同期間まで免税対象です。この税金は相続登記の際に必須で、現金または収入印紙で納付する必要があり、登記申請と同時に手続きを行います。

相続税

相続財産の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×相続人数)を超える場合に発生します。

不動産は路線価や固定資産税評価額で評価され、他の財産と合算して計算されます。税率は10%から最高55%まで累進課税となり、相続開始から10か月以内の申告・納税が義務です。

不動産相続では、小規模宅地等の特例により居住用宅地は330㎡まで80%減額、事業用宅地は400㎡まで80%減額される場合があります。

配偶者の税額軽減により、配偶者は法定相続分または1億6000万円まで相続税がかからないという大幅な軽減措置もあります。これらの特例の適用により負担を抑えることが可能です。

戸籍謄本・評価証明書などの取得費用

相続手続きには多数の書類が必要となり、それぞれ取得費用がかかります。

書類名費用備考
戸籍謄本(被相続人)450円/通出生から死亡まで複数通必要
戸籍謄本(相続人)450円/通相続人全員分が必要
住民票300円程度/通自治体により異なる
印鑑証明書300円程度/通自治体により異なる
固定資産評価証明書300円程度/通不動産所在地の自治体で取得
登記事項証明書600円/通法務局で取得

相続人が多い場合や本籍地が複数ある場合は、取得費用が数万円に及ぶ場合もあります。郵送取り寄せの際は、往復の郵送料も別途必要です。

専門家に依頼した場合の費用相場

複雑な相続手続きでは、専門家のサポートが心強い味方となります。各専門家の料金体系と依頼するメリットを比較検討してみましょう。

司法書士に依頼する場合の費用

相続登記の専門家としての報酬体系は以下の通りです。

項目費用相場内容
基本報酬5万円~15万円相続登記申請
戸籍収集代行1万円~3万円必要書類の取得
遺産分割協議書作成3万円~8万円協議書の作成
複雑案件加算5万円~筆数・相続人数により変動

登録免許税などの実費は別途必要ですが、手続きの確実性と時間短縮のメリットは大きいでしょう。

税理士に依頼する場合の費用

相続税申告が必要な場合の報酬は、遺産総額の0.5%から1.0%程度が目安となります。最低料金は20万円から30万円程度で、不動産評価や特例適用の検討も含まれます。

複雑な案件では100万円を超える場合もありますが、適切な節税提案により報酬以上の効果を期待できるでしょう。

行政書士・弁護士など他の専門家費用

相続に関わる他の専門家の費用は以下の通りです。

専門家業務内容費用相場
行政書士遺産分割協議書作成3万円~10万円
弁護士(着手金)相続争い対応20万円~50万円
弁護士(成功報酬)相続争い対応経済的利益の10%~16%
税理士相続税申告遺産総額の1.0%~2.0%

複数の専門家が関わる場合は総費用が高額になるため、事前の見積もり確認が欠かせません。

ケース別・想定費用シミュレーション

実際の相続では、財産の種類や相続人の状況により費用が大きく変わります。具体的なパターンで費用を試算し、予算の目安を立ててみましょう。

不動産1件/相続人1人/登記のみ自力

最もシンプルなケースの費用内訳は以下の通りです。

項目費用備考
登録免許税6万円評価額1500万円×0.4%
戸籍謄本等取得費5千円必要書類一式
登記事項証明書600円登記確認用
合計6万5600円

自分で手続きを行えば専門家費用はかかりませんが、平日の法務局通いや書類作成の時間と手間がかかります。手続きに慣れていない場合は、数回の修正が必要になる可能性もあります。

不動産2件/相続人複数/専門家依頼あり

複数の不動産と相続人がいる場合の費用は大幅に増加します。

項目費用備考
登録免許税15万円評価額合計3750万円×0.4%
司法書士報酬25万円複雑案件加算・協議書作成込み
戸籍等取得費2万円複数相続人分
税理士報酬45万円相続税申告が必要な場合
合計約87万円

専門家による手続きにより、トラブルの回避と時間短縮が期待できます。相続税の基礎控除額を超えているため、税務申告は必須となり、専門知識が不可欠なケースです。

相続放棄やトラブル発生時の追加費用

相続放棄の場合は家庭裁判所への申述料800円と専門家報酬3万円~10万円程度が必要です。

相続人間で争いが生じた場合は、弁護士費用として着手金20万円~50万円、成功報酬は取得財産の10%~16%程度かかります。

調停や審判に発展すると、さらに期日ごとの弁護士費用(1回あたり5万円~10万円程度)が加算されます。

早期の専門家相談により、大きなトラブルと高額な費用負担を避けることが期待できるでしょう。

費用を抑えるための実践的な工夫

相続費用は工夫次第で大幅な削減が可能です。自分でできる部分と専門家に任せる部分を見極め、効率的に進めていく方法を探ってみましょう。

自分でできる部分は手続きする

戸籍謄本の取得や登記申請書の作成など、時間をかければ自分で対応できます。法務局の相談窓口や自治体の無料相談を活用すれば、基本的な手続きは個人でも対応可能でしょう。

最近では法務局のホームページで申請書のひな形や記載例も豊富に提供されており、理解しやすくなっています。

ただし、複雑な案件や期限がある手続きは専門家に依頼する方が安全でしょう。特に相続人が多数いる場合や不動産が複数ある場合は、書類の準備だけでも相当な時間を要するため、費用対効果を考慮した判断が大切です。

見積もりを複数とる

専門家の報酬は事務所により差があるため、複数の見積もり比較が有効です。料金だけでなく、サービス内容や対応の丁寧さも判断基準に含めましょう。

最初の相談は無料の事務所も多く、相性や専門性を確認してから依頼先を決めることをおすすめします。地域密着の事務所の方が料金を抑えられる場合もあります。

不要な手続きやオプションを見極める

専門家から提案される追加サービスの中には、必須ではないものも含まれています。権利証の再発行や測量、境界確定など、急がない手続きは後回しにすることも可能です。

また、相続税が明らかに発生しない場合は、税理士への依頼は不要です。必要最小限の手続きに絞り、費用を大幅に抑えられるでしょう。

費用に関するよくある疑問

相続費用について多く寄せられる質問にお答えします。事前に疑問を解消しておけば、手続きをスムーズに進められるでしょう。

「相続税がかからなければ費用は少ない?」

相続税が発生しない場合でも、登録免許税や書類取得費は必要になります。また、相続税の基礎控除内であっても、念のため税理士に相談する人も多く、簡易的な試算で5万円程度の費用がかかる場合があります。

一方で、登記手続きのみであれば司法書士費用を含めても15万円程度で済むケースが多く、相続税申告が必要な場合と比べると確実に負担は軽くなります。

ただし、将来の税制改正や不動産価値の変動も考慮し、正確な判断のため専門家への初回相談だけでも受けることをおすすめします。

「兄弟で分担できる?」

相続費用の分担は法的に決められていないため、相続人同士の話し合いで決めることが一般的です。通常は、不動産を相続する人が登記費用を負担し、共通費用(戸籍取得費など)は相続分に応じて分担するパターンが多く見られます。

ただし、後でトラブルにならないよう、費用分担についても遺産分割協議書に明記をおすすめします。

また、相続人の中に経済的負担が困難な人がいる場合は、他の相続人が一時的に立て替えて後日精算する方法もあります。

まとめ

不動産の相続では、税金以外にもさまざまな費用が発生します。事前に相場を把握し、自分でできる部分と依頼すべき部分を整理すれば、無駄な支出を防げます。複数の専門家から見積もりを取り、必要最小限の手続きに絞り込むのも有効です。

2024年4月から相続登記が義務化され、相続開始を知った日から3年以内の登記が必要となり、正当な理由なく違反すると10万円以下の過料が科される可能性があります。早めの手続きをおすすめします。

弊社では、士業と連携して相続登記手続きのトータルサポートを行っております。手続きに必要な書類のご相談から士業のご紹介まで対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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