消費税を含む場合と含まない場合の違い

不動産のチラシやポータルサイトで見かける「物件価格」。
その価格、よく見ると(税込)表記のある物件と、表記がない物件が存在しています。

実は不動産取引では、物件によって消費税を「含んでいるもの」と「含んでいないもの」があります。
しかもそれは、建物か土地かという違いだけでなく、売主が個人か法人かでも大きく変わってくるんです。


土地はいつでも非課税

まず覚えておきたいのは、土地には消費税がかからないという基本原則。

理由は単純で、土地は“消費されない”から。
消費税は「物やサービスの消費に対して課される税金」なので、形が変わらず使い続けられる土地には適用されません。

これは売主が個人でも法人でも同じです。
つまり、土地代金については一律「非課税」となります。


建物は売主によって課税・非課税が分かれる

次に建物。売主が誰かによって消費税の有無が変わります。

■ 売主が個人の場合(一般的な中古住宅)

非課税

たとえば、ある家を個人が「自宅として住んでいたけど、不要になったので売ります」というケース。
このような 個人の“生活の延長での売却は事業とみなされないため、建物にも消費税はかかりません。

✅ 売主が法人の場合(不動産会社や建売業者)

建物代金に消費税が課税される

不動産業者が販売している新築一戸建てや、法人が保有していた収益物件(アパートなど)を売却する場合、これは「事業としての販売」にあたるため、建物には10%の消費税が加算されます。


◆ 例で比較

A. 個人売主の中古戸建

価格:2,000万円(うち土地1,000万円・建物1,000万円)
消費税なし(全額非課税)

B. 法人売主の新築戸建

価格:2,100万円(うち土地1,000万円・建物1,000万円+消費税100万円)
建物部分に消費税100万円が含まれている

このように、表面上の価格は似ていても、税の扱いがまったく違うんです。


消費税は「込み」なのか「別」なのか?

不動産広告では、「税込」や「税別」という表記がされていることがありますが、
実は不動産の世界では「税込価格で表示する」ことが原則義務づけられています(不動産公正取引協議会のルール)。

ただし、以下のような違いがあるので注意:

  • 「価格に消費税を含みます」:法人売主で、建物価格に税が含まれていることを明示
  • 「非課税」や「消費税なし」:個人売主で、建物にも税がかからないケース

知って得する、消費税のチェックポイント

  1. 建物価格は税込か? 税別か?
     → 総額表示だが、明細でチェックを。
  2. 売主は個人か法人か?
     → 広告や重要事項説明書で必ず確認を。
  3. 土地には一切税がかからない
     → どんな物件でもここはブレない。
  4. 住宅ローン控除には関係なし
     → 消費税の有無にかかわらず、登記面積や築年数が対象要件。

◆ まとめ

不動産取引における「消費税のあり・なし」は、
物件そのものの価値よりも「売主が誰か?」に大きく左右されるという少し意外な仕組み。

物件価格の“裏にあるルール”を知っておくだけで、買い手としての目線が一段と鋭くなりますよ。