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煌めく星巴克(STARBUCKS RESERVE ROATSTERY), 上海 – 中国

上海に来て半年、つくづく感じていることがあります。それはスターバックスコーヒーの多さ。地下鉄に乗って駅を出ると必ずと言っていいほど目に入り、数分歩くとまた目に入る。交差点にも商業ビルにもとにかくある。主要観光地には2、3店舗まとめて存在し、1店舗が満席でも近所にすぐ別店がある仕組み。セブンイレブンのドミナント戦略ではないけれど、上海でのスタバ出店網羅感はものすごいものがあります。

そもそもお茶文化が浸透しきっていた中国では、コーヒーはそこまでポピュラーな存在ではなかったそう。そこに介入して一気に出店し、すっかり定番となったスタバに追随するコーヒーチェーンは今の所現れていません。

(余談ですが中国にはLuckin Coffeeという2017年の開業からわずか3年で4500店舗を出店した巨大コーヒーチェーンがあります。アプリ上で注文・支払い→店舗で待ち時間なく受け取りという利便性に舵を切った戦略で、通常のコーヒーショップとは多少ベクトルを異にしています。)

そんなスターバックスが2017年、上海の南京西路にオープンさせたのが「STARBUCKS RESERVE ROASTERY SHANGHAI」(店内の自家焙煎機で焙煎した新鮮な豆を使って珈琲を提供する店舗)。当時はアジア初のスターバックス旗艦店だったそうで、2019年には東京の中目黒にもオープンし話題になりました。

今回、そんなことを露知らず足を踏み入れた私・・・いつものスタバとは一味も二味も違う世界がそこにはありました。

目を引く外観。円筒型の巨大な建物が、五叉路になった広い交差点にドーン!と立っているから見逃そうにも見逃せない。

まずは目を引くこの外観。石造りのその建物は、歴史的建造物の多い上海の街並みにも遜色なく、むしろその雰囲気を拡大増長させるのに一役買っている印象です。後方には高級ショッピングモール「兴业太古汇」が控えており、このリザーブロースターはその顔のような位置付けとなっています。

外観が如何にもスノッブな雰囲気を醸し出していることに気づかず、普段通りのテンションで入店してしまった私が異変に気づくまで約2分・・見慣れないショップの様な陳列棚、まばらな座席、広くて導線不明な店内。所在ない気持ちで暫く店内をうろついた後、店内奥に巨大なロースター(珈琲豆焙煎機)を発見し、やっと「ここはロースタリーだ!」と気づいたのでした。

普通のスタバだと思って入った先は・・・明らかにいつもと雰囲気が違う。
コーヒーショップというよりバーのようなカウンター。

突如目の前に現れた異空間に驚きつつも、コーヒー休憩したかった私は早速注文を・・・と思ったものの、どうにもレジが見当たりません。見渡せば巨大な円形カウンターが2つあり、中ではスタッフの方が忙しそうにコーヒーを淹れているのに、手に入れる方法がわからない悲しみ・・・やっとのことで案内スタッフに声をかけ、巨大カウンターの一角で注文することがわかったのでした。

パーソナルスペースを保ったゆとりの配置。さらりとレジカウンターを兼ねていることに気づけず。

注文を済ませ、(通常の倍価格!の)コーヒーを受け取って席を探しに行きます。平日午後にも関わらず、そしてとても潤沢に用意された席数にも関わらず、2名以上用は満席でした。私は1人だったので、かろうじて空いていたカウンター席に座ります。

サイフォンを目の前に。

上海人(もしくは中国人)は元のお茶文化が手伝ってか集ってお喋りするのが好きなようで、カフェで1人で寛ぐ人は相対的に少なめです。この日も周りはグループ客が多く、この特殊な空間を凝視しているのは私含め数名のみでした。

とはいえここは、しっかりと堪能しないと勿体ないと思わせられる本格的且つ魅力的な空間です。

深い色の木目を基調とした店内は、一見とてもシックでコーヒーショップというよりは落ち着いたバーのようでした。奥行きのある重厚なカウンターに行儀よく並べられたコーヒー器具たちは、最も映えるように照明が調整されてキラキラと輝いています。コーヒーだけでなくメカニックなものに興味のある人も楽しくなってしまう、そんな光景だと思います。

黒、銅、木、コンクリート・・最高の組み合わせじゃないか。
天井は幾何学模様をランダムに崩したようなあしらい。よく見ると所々に銅板が仕込まれていて、コーヒー器具の金属色とリンクしていた。
家具にも注目。店舗用というよりは、自宅で使いたくなるような上質な質感。

そしてお店の正面・最奥に鎮座する焙煎コーナー。ここでは数名のスタッフがテキパキと焙煎作業に勤しんでいました。焙煎されたばかりの新鮮な珈琲豆が頭上に張り巡らされたパイプを通り、各カウンターへと直接届く仕組みです。 

タンクには2〜4文字程度の漢字単語がマス目状にあしらわれていた。シックに中国っぽさを織り交ぜてくる。
人の身長の2倍程度あろうかという、大きな焙煎機。
精密なベルトコンベア機も。コーヒーをお供に工場見学ができるような、ちょっとお得な気分。

徹底して作り込まれた店内は、見慣れたスタバとは違う世界で気持ちよく裏切られた気分でした。

素材感で勝負した内装は高級感があるもののギラついた嫌らしさはなく、ただひたすら上質な居心地だけがそこにありました。

象徴として並ぶ圧巻のコーヒー器具たち、そしてそこに古く国際都市として発展した上海の、中国でありながら洋の雰囲気も纏ったイメージを上手く掛け合わせた内装は、正にここにしかないテーマパークとも言える様相で一度は訪れる価値のある空間だと思います。

世界中で均一な商品と空間を提供することが1つの価値となっているスターバックスだからこそ(そして私たちはその恩恵に預かっている反面、新鮮味を感じなくなっているからこそ)、新たな感動を生み出す場所づくりへの情熱と努力を見たような気がして、心楽しい体験となりました。

それではまたどこかのスペースで!