WEST BUND[ウォーターフロント観察], 上海 – 中国

投稿日: カテゴリー: 世界スペース紀行未分類

前回記事で上海の川沿いエリアを訪れたところ、予想以上に整備されていたことから上海のウォーターフロント事情が気になり始めて、それ以降もちょこちょこ色んな川沿いエリアに足を運んでいます。

以前台湾に住んでいた時期があり、台北の川沿いがよく整備されていたことで「(特に用事はないけど)何気なく川沿いに行く」ことに慣れてしまったというのもあります。

台北には基隆河という河川があり、その両岸が市民の活動の場として開放されていました。

両岸にランニング/ウォーキングコースの他、並行して自転車専用コースも設置されていました。台北は街中にu-bikeという街乗り用自転車が設置されており、スタンドさえあればどこでも借りて返すことができるため、u-bikeで川沿いに来る人をよく見かけます。「放課後、川沿いに自転車漕ぎにいこうよ!」という誘い文句が中国語の教科書に載っていたほどなので、[川沿いで自転車に乗ること]は台湾人の日常生活に浸透しているのだと思います。

広い空と遠くの山を眺めながら自転車を漕ぐのは、確かに気持ちいい。

その他にも

  • バスケットコート
  • ドッグラン
  • スケボー練習コーナー
  • 橋の下で楽器練習

など、多様な目的を持った人々がここを使えるように設計されています。その中でも驚いたのが「この壁はペイントしてもいいよ!」と、河岸の堤防壁の一部をグラフィティ用に解放していたこと。数ヶ月に一度クリアされるものの、いつでも自由に落書きして構わないという懐の深さ。

こうしてみると、狭い台北だからこそ「広い場所がないとできないこと、やりづらいこと」「ともすれば誰かの迷惑になってしまうかもしれないこと」などを趣味に持つ人や動物が自由に楽しめる貴重なスペースとして、川沿いエリアが有効活用されていたんだなと思います。

これだけ広いと人もペットものびのび。しっかり街灯があるので、夜も安心して利用できます。何気に夜景も綺麗なんです。

かくいう私も散歩がてら自転車を漕ぎに行ったりと、その豊かな環境を存分に利用させてもらっていました。

そんな経緯があり、川沿いの公共スペースがどの程度・どんな手法で市民の生活に影響を与えているかを確認することが、いつのまにやら個人的な楽しみの1つに。

ただ中国の川といっても、頭の中にあったのは大昔社会科で習った「長江・黄河・揚子江」というワードくらい。実際にどんな川なのかなんて、イメージすら湧きませんでした。

そんな中、前回たまたま訪れた上海の川沿い。予想外の雰囲気の良さに軽く味をしめたので、これは他の箇所にも行ってみない手はありません。

この日訪れたのは、前回の老馬頭(ラオマートウ)からずっと南西に進んだWEST BUND(西岸)エリアです。

ビジターセンター。しっかり「西岸の顔」的に作ってあります。

この西岸エリアはスポーツを楽しめる設備が充実していました。そして公設・私設に限らず、美術館やギャラリーなどのアート施設が点在していたのも印象的でした。

まず、川沿い全体が遊歩道になっていて、市民がのんびり過ごせる広々とした空間になっています。

途切れることなくずっと川沿いを辿っていけるランニングコース。

上海の川沿いエリアは残念ながら自転車をもって入ることはできないのですが(100mおきくらいに公安警察が立っていてコッソリ入ろうものならすぐに声をかけられます。折角気持ちいい環境なので、駐輪だけ禁止にして自転車を漕げるようにしたらいいのに・・と個人的願望を持ちつつ)、それでも平日の昼間に皆こういう場所に来るんだ〜というような若者たちが、連れ立って談笑しながら散歩している様子を見ていると、純粋にいい空間だなぁと思います。近隣のオフィスビルから昼休憩に出てきたような人たちも。

みんな川を眺めながらのんびり。広いからスケボーの練習してても気にならない。

どんどん歩いて行くと、adidasが運営するRUN BASEが。ランニングシューズやトレーニンググッズの試着・試用ができたり、ランニングのための着替え等ができるシャワー室完備の施設だそう。

無造作にコンテナを並べたようなデザインもカッコいい。

すぐ隣にはボルダリング用の巨大な壁があったり(大人も子供もよくチャレンジしている)、スケボーパークもあります。撮影日は平日昼間だったので人出もまばらですが、夕方になるとボーダーたちが、週末になると家族連れもプラスされて、とても賑わっていました。

右奥に結構本気で登っているお兄さんがいます。
午後遅めの時間から盛り上がり始めるスケボーパーク。

パワーを持て余す子供たちの発散場所として、練習場所を見つけることが難しいボーダー達の集合場所として敢えて専用スペースを設けることで、そこに暮らす人々のQOLを上げることに一役買っているなぁと関心。元のスペースがとても広いことも要因ですが、それぞれの設備を惜しげない規模で作っていることに本気度を感じます。

バスケットゴールが並ぶエリアも。

人の多い街だからこそ、隣の人に遠慮せずに楽しめる広い空間が、誰にでも使える公共空間という形で市民に共有されていることに価値があるなと感じました。

そしていずれ個別に訪ねていきたいアート系施設の数々。

かなりのインパクトで存在しています。

川沿いだけに、かつて産業の中心であったことをうかがわせる遺構がいくつも残っており、それらをリノベーションした建物が散見されます(一部は個人が私財を投じた私設美術館で、それらが周辺の環境としっかり調和していることにも驚き)。文化発信地としての役割も担うことで、前述の「(公園的)市民の憩いの場」とあわさって掛け算的に価値を創り出している印象を受けました。

突然現れる石灰工場跡地。新たな建築とうまく融合させ、美術館の一部となっています。

今回は上海の川沿いエリア・WEST BUNDを探索してみました。空間自体が広いこともありますが、何より内容がとても充実していることに驚きました。上海ウォーターフロントの公共空間としての使い方、個人的にいいなと思う部分が多いので、今後の変化も気になるところです。

引き続き色んなスペースに着目して楽しんでいきたいと思います!